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「長距離ランナーはどうして故障が多いのか?」

腱鞘炎に腸頸靱帯炎、鵞足炎にアキレス腱炎、これは私が選手時代に苦しんだ故障である。長距離ランナーのくせに大殿筋と二頭筋の肉離れも経験した。
しかし、珍しいことに今や長距離ランナーの代表的な故障?として有名である「疲労骨折」は一度も経験がない。「疲労骨折」は特に女子ランナーに多くみられるが、最近では男子ランナーも発症するようである。
また、男子実業団選手の間では「足の力が抜ける」という症状の新種の?故障が流行っているらしい・・・。

そういえば学生時代、短距離や跳躍の先輩に、
「ね~ね~なんで長距離は故障ばっかするの?」と聞かれ、答えに困ってたら、「俺達なんか故障するほど練習やらね~からな~~!」と談笑したことがある。
今思えば、そこに大きなキーワードが隠されていた。
短距離や跳躍の選手の方がはるかに出力も高いしスピードも速いのに、故障しないのは”パワー”があるからなのだ。
長距離ランナーはたくさん練習をやるから故障するのではなく、自分が持っている
パワー(筋力)以上のスピードや距離を走るから故障するのである。
裏を返せば、長距離ランナーはパワー(筋力)がなさ過ぎるということである。

私は大学1年の春から4年間、病院のリハビリ室でトレーニングを受けていたが、
トレーニング初日に先生に、「ホントに運動選手?ホントにこれで高校時代速かったの?小学生以下だよ~」と言われ、大ショックを受けたのを今でも覚えている。
何がショックかって、先生の指一本でバランスを崩してしまうほど、どこに力を入れて良いのかすらわからなかったのだ。
健常者でありながら、私は本当にリハビリが必要な状態だ、と痛感した。

長距離ランナーの場合、筋肉モリモリの一般種目に比べ、一見みんな筋肉がなく骨と皮だけじゃないの?と思うような細身が良い、と思われがちだが、それは大きな間違いなのだ。
ゆっくりのジョギングだって、自分の体重の約2倍の負荷が足にかかる。となると、最低でもそのくらいの脚力がなければ、自分の身体を自由に操作したり、自分で支えることなどできるはずがない。ましてやレースに出場するようなランナーならば、最低でも自分の体重、いやその倍の重さでスクワットできるくらいの筋力が必須といえる。(野口みづき選手やラドクリフ選手の筋トレはスゴイ!)

結論は、あらゆるスポーツ選手は『基礎体力』がなければ始まらないということ。
技術にパワーは付いてこない、まずはパワーありきということだ。
走れば速くなる、ではなく走るためのパワーをつけてから走ること。
そして自分のパワーに見合ったトレーニングをすれば故障は防げるはずである。
ちなみに我がチームの故障者たちは、毎日筋トレ中!走った方が楽らしい・・・?!

2004-09-07
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