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「自己新」

陸上競技にかかわらず、記録の伴う競技をしているアスリートにとって、最高の瞬間は
「自己新」を出したときであろう。そしてその指導者も同様である。
アスリートは、自分の記録を1秒でも1cmでも更新するために練習をしている。
最高で最大のライバルは自分であり、自己記録の更新は、これまでの自分の努力や、
費やしてきた時間が無駄ではなかったことの証明ともいえるのだ。      
しかし、競技力が高くなればなるほど自己記録は出にくくなるため、大学・実業団等で自己
記録を更新するのは結構大変だ。なかなか「自己新」が出ないと、『環境が悪い?』
『練習が悪い?』『指導者が悪い?』と、他に責任を転嫁したくなるのは世の常である。
ハッキリ言えば、「自己新」が出ないと陸上競技は楽しくない。

先日、久しぶりに兵庫リレーカーニバルの1万米を観戦した。
アテネ五輪マラソン代表の野口みずき選手が見事な「自己新」を出し、トレーニングが順調に
進んでいるようであった。この1万米の「自己新」は、きっと彼女にアテネに向けて希望と活力を
与えたに違いない。

「自己新」はアスリートにとって何よりのご褒美だ。
立幅跳でも、段跳でも、スクワットでも、体重・体脂肪だっていい、たとえ専門種目のデータで
なくても「自己新」が出るということは、何らかの身体能力が向上したということであり、
専門種目の「自己新」へとつながっていく。
客観的な数値はウソをつかないと私は信じている。
逆を言えば、練習をしているにもかかわらず、何の数値も向上しないのは問題ともいえる。

恥ずかしいが、私は高校時代に出した3000m(9分10秒22)の自己記録を、その後、更新することができなかった。そのかわり800m、5000mの自己記録を更新し、1万米、ハーフマラソン、マラソンへと距離を変更していったので、「自己新」の喜びを経験しながら競技を続けることができたことは、幸運であった。目先を変えて「自己新」を出すのも悪くない。世のアスリート諸君、「自己新」を出そう!!

2004-05-04
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